スタッフ全員子育て真っただ中。それでも円滑にまわる支え合いの精神とは。|中部メディカル訪問看護ステーション 三宅恵美・中村詩織

在宅医療介護の現場で働くひとたちの想いを伝えるインタビューメディア「メディケアワークス」。今回は、守山区にある「中部メディカル訪問看護ステーション」管理者の三宅恵美さん、中村詩織さんにインタビューしました。

中部メディカル訪問看護ステーションのスタッフさんは、なんと、みなさんが子育て真っただ中。お子さんが小さいとどうしても急な休みが起きてしまうもの。ステーション運営に影響はないのかなと思いましたが、中部メディカル訪問看護ステーションには、誰かが急な休みになってもスタッフ同士で快くフォローし合う環境があるとのことでした。そこには、スタッフみなさんが自分自身もフォローしてもらった経験があり、自分がしてもらったことは、他の人にも返したいという、思いやりをベースとした支え合いがありました。非常に働きやすい職場だなと思いました。

三宅さん、中村さんがどんな思いを持って日々の看護に取り組んでいるのか。ぜひその思いをご覧ください。

インタビューの様子は動画で公開中!ぜひご覧ください。

日々の行動のベースには「こころを大切に、連携を大切に、スピードを大切に」という理念が。

中部メディカル訪問看護ステーション 管理者・三宅恵美さん

 ー自己紹介をお願いします。

中部メディカル訪問看護ステーション管理者の三宅恵美です。同じく中部メディカル訪問看護ステーションの中村詩織です。

 —事業所の紹介をお願いします。

三宅さん:中部メディカル訪問看護ステーションは、2023年2月で開設10年目を迎えました。「こころを大切に、連携を大切に、スピードを大切に」という企業理念のもと、ビリーフという行動指針を掲げ、日々訪問しています。

現在は看護師6名、理学療法士6名、事務員1名が在籍し、守山区を中心に、名東区、千種区、東区、北区、尾張旭市へ訪問しています。

当ステーションは、代表が理学療法士ということもあり、利用者さまが元気に歩くためのケアが強みです。ご高齢になると、転倒のリスクが高まります。足は歩くことに直結するので、転倒を防ぐために、足のケアは非常に大切なんです。看護師もフットケアに力を入れており、爪のことや水虫など、足のトラブルが起きても、スピーディーに対応するようにしています。利用者さまが元気に歩き続けられることを目標に、日々のケアに取り組んでいます。

 —「こころを大切に、連携を大切に、スピードを大切に」という理念について詳しく教えて下さい。

三宅さん:まずは「こころを大切に」についてです。専門職ってどうしても閉ざされた世界になりがちです。そのため、専門職にとっての常識と、一般の方にとっての常識がずれてしまう可能性を社長が感じていたんですね。専門職の常識を押し付けるのではなくて、まずは利用者さまやご家族のこころを大切にしましょうという思いが込められています。

「連携を大切に」については、地域連携・多職種連携の大切さを表しています。訪問看護って、ケアマネージャーさん、病院の先生、ヘルパーさんなど、たくさんの職種の方と関わるんです。多職種の方々と連携しながら、利用者さまを支えていくことになるため、地域のケアチームのみなさんとの親密で良好な関係性は、質の高いサービスを提供するために重要だと考えています。

最後に「スピードを大切に」については、何事にもスピードを持って行動しようという思いが込められています。在宅では状況が常に変化するので、スピードが遅いと利用者さんにとってよくないことが起きてしまう可能性もあります。何事も先送りせず、スピード感を持って対応するようにしています。

こころ、連携、スピード。この3つを大切に、日々行動しましょうという思いを込めて、理念が作られています。

 — いろいろな職種の方と連携するうえで気をつけていることはありますか?

三宅さん:「言葉遣い」です。利用者さまに対してはもちろん、チーム内でも敬語で話すように心がけているんです。日頃からできていないと、外ではできないよということで、チーム内でも言葉遣いには気をつけています。どんな相手に対しても丁寧に礼儀を持って接するようにしていますね。

スタッフ全員が子育て真っ最中。みんなで助け合い、支え合うカルチャー。

中部メディカル訪問看護ステーション 中村詩織さん

 — 入職したきっかけを教えてください。

三宅さん:私は以前、急性期病棟で勤務していました。そのときは、時間に追われ、業務に追われ、慌ただしく仕事をする日々で。そのような中で「自分は入院中の患者さまやご家族の不安や疑問にじっくりと耳を傾けられているのだろうか」と自問自答していました。病棟での看護は、退院したら関わりが終わりですが、継続的に看護師として関わっていけたらという思いもありました。患者さまがおうちに戻られてからの生活にも興味があったので、訪問看護で働けたらと考えていました。

そんなときに、長男の出産をきっかけにその病院を退職することになったんです。その後、双子も授かり、育児に追われる日々が続きました。そんな毎日にちょっと疲れてしまい、子ども以外のいろんな人と関わりが持てる仕事がしたいと思うようになりました。

そこで、興味のあった訪問看護で働こうと一念発起。当ステーションに出会いました。初めは非常勤でしたが、子どもの成長とともに、働き方をステップアップして、現在は管理者に至ります。

中村さん:私が中部メディカル訪問看護ステーションに入職した理由は2つあります。

1つ目の理由は「住み慣れたおうちで最期を迎えたい」という想いを支える看護がしたいと思ったからです。そのような想いに至ったのは、私が以前勤めていた総合病院で、小脳出血を発症して状態が悪化し、予後不良の患者さま・ご家族の看護に携わった経験がきっかけでした。

その方は、お亡くなりになるまでの1ヶ月間、ご家族が付きっきりでした。24時間、病院で付き添うのは本当に大変で、精神的・身体的な負担はすごく大きいなと感じました。その方が亡くなった後、ご家族が「何もできなかった」と訴えているのを聞いて、私は十分な声掛けや振る舞いができていたのかなと……。後悔が残りました。

住み慣れたおうちで最期を迎えたいと想う方は少なからずいると思いますが、訪問看護ならそのような方を支えることができます。

2つ目の理由は、結婚を機に子ども授かりたいという自分のライフスタイルに合わせて、家族との時間も大切にしながら働きたいと思ったからです。

病院では勤務が不規則ですが、訪問看護では休日家族と過ごすことができます。実際、私も子どもが生まれ、産休・育休を取らせていただきました。そして、今は時短勤務で働かせていただいています。子どもの体調不良で、急な休みをもらうこともあるのですが、スタッフ全員が子育て真っただ中ということもあって、快く休みをいただける環境があります。どうしても子どもを預けられないスタッフは、事務所に子どもを連れてくることもできます。とても働きやすいなと感じていますね。

チャットやZoomなどのツールを用いて情報交換を密にとれる環境もあるので、いつでも相談できる安心感もあります。スタッフ全員で助け合い、自分の家庭も大切にしながら働ける。すごく良い職場だなと感じています。

 子育て中の方も働きやすい環境なのですね。

中村さん:はい、すごく。

三宅さん:歴代の管理者が2名いるのですが、私自身がいっぱい助けてもらいました。なので、私も同じようにみんなにしたいなという想いがあります。

 病棟看護と在宅看護では、どのようなところに違いを感じますか?

中村さん:病院の環境の下だと、どうしてもご家族も緊張されています。また、こうしたいという思いがあっても「なかなかやってもらえない」という憤りを訴えられることも多かったです。

一方で、在宅だとご家族もリラックスされていますし、看護師も決まった時間にゆっくり伺うことができます。ご本人を家族で囲んで最期を看取ることができたこともあります。そういったことが、在宅と病院の違いだと感じています。

時間を計測したり、ケアマネさんと連携したり。利用者さんの希望を叶えるためにスタッフみんなで試行錯誤。

 — 今までで一番印象に残っている利用者さんのことを教えて下さい。

三宅さん:私は、入社して今年で10年目になります。これまでに、たくさんの出会いや別れがありました。その中でも、ご夫婦で訪問看護を利用された方が印象に残っています。ご主人が入院されていたのですが、ご自宅で過ごしたいという想いが強く、急きょ退院になりました。そのときに、ご家族、ケアマネージャーさん、主治医の先生、関わるみんながスピード感を持って対応しました。ご自宅での生活はかなり短く終わってしまったのですが、ご主人が最期、私とケアマネージャーさんに向かって手を合わしてくださったんです。言葉を聞き取ることはできなかったのですが、家に帰れたことを感謝されているのかなと。そして、残された奥様のことをよろしく頼むねという想いがあったのではないかと感じました。

もっと支援ができたのではないか、看護にはゴールはないな、と訪問看護の奥深さを感じた経験でした。そして、その人らしい人生や希望を叶えるお手伝いがしたいと、より強く思うようになりましたね。

中村さん:私が一番印象に残っているのは、在宅酸素を使用されていた肺気腫の利用者さまです。その方は、お風呂が好きで、湯船につかって入浴がしたいという強い想いがありました。湯船につかることは身体の負担になるので、病院では許可されないことなのかなと思います。しかし、在宅という環境の中で、ご本人の希望があるので、何とか叶えたいと思いました。スタッフ全員で試行錯誤しながら取り組み、利用者さまの想いを叶えることができました。すごく良かったなと、印象に残っています。

 — 利用者さまの想いを叶えるためにどのような試行錯誤をされたのですか?

三宅さん:どうしたら身体に負担がかからないかを検討するために、時間を測りました。ここではこれぐらいの時間がかかってるから、こうするといいんじゃないかというのを、実際に時間を計測しながら考えました。また、行けるときは看護師2人で訪問して、パパッと動くということもしましたね。
躓いているところがあれば、何かいい手立てはないか、ケアマネージャーさんに相談したりもしました。福祉用具で補えるんだったら手を貸して欲しいと。ケアマネージャーさんとはよく連絡を取ってましたね。

笑顔を大切に礼節を持って。利用者さまと信頼関係を築き、人生を一緒に考えていける存在に。

 — 看護を提供する上で大切にしていることはなんですか?

三宅さん:「笑顔で丁寧に、礼節を持って」ということが非常に大事だと思っています。笑顔は、人を明るくし、話しやすい雰囲気を作り出します。「第一印象は笑顔!」それを大事にしています。

また、訪問看護師は、利用者さまやご家族から意思決定の助言を求められる、本当に身近な存在だと感じています。想いに寄り添うことは大前提ですが、そこに専門職としての知識をプラスすることで、利用者さまが安心して生活できるような援助をしていきたいと思います。

中村さん:私が看護を提供する上で最も大切にしていることは、「ご本人、ご家族の想いを一番に、常に真摯な態度で耳を傾ける姿勢を持つ」ということです。関わる方は皆さん人生の先輩です。弊社の理念でもある、身だしなみや挨拶といった基本的な姿勢から重要だと考えています。

病院と在宅での看護の大きな違いは、病院は病気を中心に看るのに対して、在宅では病気はもちろんのこと、その人の生活全体、家族との関係、人生観、その後の望む人生にも関与することです。ご自宅で療養するとき、主体は利用者さま。ご本人やご家族の同意を慎重に確かめながら、相手側のペースに合わせて、ゆっくりと信頼関係を築き、働きかけることが重要です。

看護師としてだけでなく、人として向き合い、何気ない会話から少しずつ信頼関係を築き、何でも相談し合える関係を作っていきたいなと。ちょっと生意気なのですが、「人生を一緒に考えていける存在でありたい」と思っています。

今回お話を聞いた方について

中部メディカル訪問看護ステーション

管理者 三宅恵美

2004年三重県立看護大学看護学部卒業。総合病院の消化器外科勤務、妊娠・出産に伴い退職。2013年5月中部メディカル訪問看護ステーション入社。3児(長男・双子姉妹)の母。入社時は非常勤、子供成長に合わせて働き方をステップアップし、現在は管理者。「笑顔で丁寧に、礼節を持って」を大切にしています。

中村詩織

2013年岐阜県立看護大学看護学部卒業。総合病院の脳神経外科勤務後、2019年11月中部メディカル訪問看護ステーション入社。1児の母。
「ご本人・ご家族の想いを一番に、常に真摯な態度で耳を傾ける姿勢を持つ」ことを念頭に置き、礼節を持ち常に笑顔を心掛け、日々訪問看護に奮闘しております。子育て中のスタッフと助け合い、家庭も大切にしながら楽しく働いています。

三宅さん、中村さんが働く事業所はこちら

事業所名中部メディカル訪問看護ステーション
サービス種別訪問看護
住所愛知県名古屋市守山区小幡南3-17-31 カーサルーチェB-3
お問い合わせ052-792-9802
ウェブサイトhttp://chubu-med.com/