訪問看護は関わってる人みんなの人生に携わっていけるすごく深い仕事|訪問看護キープオン中川 安田千亜希

在宅医療介護の現場で働くひとたちの想いを伝えるインタビューメディア「メディケアワークス」。今回は、中川区にある訪問看護ステーション「訪問看護キープオン中川」代表の安田千亜希さんにインタビューしました。

安田さんは非常に思いやりのある方です。ステーションを立ち上げたきっかけも、働くママさん看護師が活躍できる場を作りたいという思いからでした。ステーションには、なんと、スタッフ専用の託児所もあります。仕事に対する意識が自分自身ではなく、スタッフや利用者さんなど周囲の方へ向いている方なのだと感じました。

どんな思いをもってステーション運営をしているのか。ぜひ安田さんの思いをご覧ください。

インタビューの様子は動画で公開中!ぜひご覧ください

利用者さんの訪問を絶対にお休みしない、安全に訪問を提供する。

キープオン中川 代表・安田千亜希さん

 ー自己紹介をお願いします。

安田千亜希(やすだちあき)です。

訪問看護キープオン中川の管理者をしていて、キープオン中川を運営してる会社の代表もやっています。

 —事業所の紹介をお願いします。

キープオン中川の訪問エリアは、名古屋市の西側が中心です。中川区、港区、中村区、隣接する蟹江町と大治町メインに行っています。また、熱田区や西区にも訪問しています。

コロナをきっかけに、「利用者さんの訪問を絶対にお休みしない、安全に訪問を提供する」という体制を構築するために人員を配置してきました。現在看護師はパートさんも入れると10名。利用者さんの数の割には看護師が多いと思います。もし体調不良などスタッフに何かあって急に休んでも、訪問は休まないような体制が作れていますね。実際、利用者さんからも「絶対来てくれるね」って言っていただけています。

また、人数がいる分、ご連絡いただいたらすぐに介入も始められますし、日中の緊急対応もすぐに行けます。機動力があるのは事業所の強みだと思っています。

また、リハビリも40代から20代後半のスタッフまで、今は6人ぐらい在籍しています。看護としっかりと連携して入っているので、それも強みです。

比較的若い力でパワフルに訪問に行っている感じですね。

訪問看護は働くお母さんにとってすごく働きやすい環境。みんなが働きやすいステーションを作りたい。

 — 事業所を立ち上げたきっかけを教えてください。

総合病院で働いてたときに、保育園のお迎えに間に合わないママさん看護師が途中で辞めていったり、お子さんが熱で早退する、欠勤するっていうので、なんとなく肩身が狭いような思いを感じている方々を現場で見てきました。

きっかけがあって緑区にある訪問看護キープオンに入社したときに、訪問看護って働くお母さんにとって、すごく働きやすい環境なんじゃないかなと思いました。また、名古屋市は待機児童が多く、正社員じゃないと保育園に入れないっていう名古屋市独特の事情も聞いて・・・

子どもを預けられる環境がある訪問看護ステーションがあったら、みんな働きやすいのではないかと。そして、そういう環境下で働く人はきっといい仕事をするんじゃないかなっていう発想に至りました。自分の理想を詰め込んだステーションを1回作ってみようと思い、立ち上げました。

一番印象に残っている利用者さんは、スタッフみんなの力をすごいと感じさせてくれた方。

 今までで一番印象に残っている利用者さんのことを教えてください。

利用者さんの話を聞かれると「絶対にこの人!」っていう方がお一人います。その方は私以外の看護師とリハビリスタッフを中心に訪問していた方でした。私は1回も直接訪問してないんです、本当に見ているだけで。

お看取りの方だったのですが、お亡くなりになるまで全てを、現場の看護師たちが意見を出し合って進めました。日々、出てくるご本人の苦痛などをどうやって解決していこうか、ご要望をどうやって叶えていこうか、というのを看護師とリハビリスタッフで、すごくいっぱい話し合っていましたね。

途中でナーシングホームに入居されることが決まったときに、アルバム全部を持っていけないからどうしようってなったんです。とある看護師が、ケータイでアルバムの写真を撮って、思い出として持って行きましょうというアイデアを出し、それを現場の判断で進めていました。私は看護記録に書いてあったのを確認しただけでした。

その方は、本当は施設に行きたくないなって思いながらも、いろんな都合でナーシングホームへ行くって決められたのですが、施設へ行く日の朝にご自宅のベッドでお亡くなりになりました。お亡くなりになる前日の夕方まで、うちのスタッフがすごく一生懸命関わって、ご希望通り、最期はご自宅でお看取りになりました。

管理者がいなくても、みんなの力だけでそのような支援がやれる。そんなスタッフがいるのは心強いなって。スタッフみんなの力がすごいなというのを実感しましたし、現場の判断でご本人の希望をどんどん叶えていったっていうエピソード一つ一つもすごく感動しました。印象に残っている利用者さんのことを聞かれると、私はいつもこの方のエピソードを話しています。

家族みんなでケアをしていくということを忘れない。

 看護を提供する上で大切にしていることを教えてください。

病院にいるときは、日々関わる患者さんのことしかあまり考えていなかったのですが、在宅だとご家族の生活の中に患者さんの生活もあるという感じです。ご本人の気持ちは当然ですが、一緒に生活してるご家族のことも気にかけるようにしています。また、遠く離れていて直接介護はできないご家族についても、どう思っているかを話す機会があれば、積極的に意見を聞くようにしています。家族みんなでケアをしていくんだということは忘れないように意識しています。

訪問看護とはいろいろな人を巻き込んで、いろいろな人の人生に関わっていく仕事。

 — 最後に安田さんにとって訪問看護とは何でしょうか?

緩和ケア病棟とか施設とか、そういうところに預けてすごく安心される方が今まで多かったのですが、コロナ禍になって、最後の最後までご本人もご家族も一緒に過ごしたいっていう思いがすごく強くなったのを感じました。その中で、訪問看護を導入すれば、家族と一緒に過ごせるから、不安だけど家で過ごすというのを選びましたという方がここ数年ですごく増えました。お家の状況もみなさん違うので、かんたんにはいろいろなことを決めれなくて、すごく難しいのですが。

訪問看護っていうのは、自分の家で最期お亡くなりになるとか、療養生活を過ごすとか、その方の人生に携わることになります。そうすると、利用者さんを通じて自分の人生も考えるような職業になると思うのです。看護師としてっていうよりも、その方の人生に自分の日常生活や人生も預けて一緒に時を過ごすって感じですかね。

私は、仕事としてというより、自分個人として訪問看護を考えている時間も、ケアしてる時間もすごい好きなんです。訪問看護とはって言われると一言では表しにくいのですけど、関わってる人みんなの人生に携わっていける、すごく深い仕事だなとは思います。答えはないなと思いますけど。

スタッフもみんな悩みながらも協力してやってくれています。本当にいろいろな人を巻き込んで、いろいろな人の人生に関わっていく仕事だなとは思ってます。

今回お話を聞いた方について

訪問看護キープオン中川

代表 安田千亜希


株式会社ビーン代表取締役、訪問看護キープオン中川 管理者。
2014年名古屋大学医学部保健学科看護学専攻卒業。在学中にデイサービス、訪問入浴で勤務。総合病院の消化器内科、血液内科勤務後、株式会社キープオンに入社。訪問看護師として経験を積み、2017年株式会社ビーンを設立。
「スタッフも利用者さんも、みんなが幸せであるために」という理念のもと、地域医療に専門職として貢献できるよう、託児所を併設した訪問看護ステーションを運営。

安田さんが働く事業所はこちら

事業所名訪問看護キープオン中川
サービス種別訪問看護
住所愛知県名古屋市中川区中島新町3-1611 3F(グランパス教育建物内)
お問い合わせ052-746-8566
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